価値がある理由

photo:yoshimura kazutoshi

 「錦鯉は高価なもの」というイメージを持っている方は多いのではないでしょうか。実はそれ、半分正解、半分間違いです。
 錦鯉は1回に数万〜数十万の卵を産みます。生産者によっては100匹を超える親鯉を使い、卵の総数が数千万個になることも。これらの稚魚を育成するには、たくさんの池が必要になります。
 膨大な数の稚魚を夏の間に通常3〜4回選別し、秋に越冬池に移すまでに残すのは、わずか0.5%以下。その後も随時選別していきますから、販売できるレベルの鯉はほんの一握りに過ぎません。自然災害や病気などで大打撃を受けるケースもありますし、多くの池や越冬施設の稼働には膨大なコストがかかります。そこまでしても、数百万円の値がつく鯉が生まれる可能性は0.01%以下……限りなくゼロに近いわけですから、残った鯉の価値はまさにダイヤモンド級で高価になるのです。
 ただし、宝石はすべてがダイヤモンドではありません。数百万円というような錦鯉はほとんど例外的な存在で、一般的に販売されているのは数千〜数万円が中心、1匹千円以下の錦鯉だっています。ダイヤモンドと比べれば1ランク下かもしれませんが、安くても錦鯉は錦鯉。選りすぐられた宝石であることは間違いなく、他に1匹として同じ鯉はいません。それもまた、錦鯉が持つ価値の一面と言えるでしょう。水槽で手軽に飼うこともできますので、ぜひ全日本錦鯉振興会員のお店にご相談ください。