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古い鯉「花子」
「鯉は長生き」を象徴するエピソードとして有名な「花子」。岐阜県東白川の池に住んでいた花子は、鱗の輪の数から223歳とされ話題になり、1983年発刊のギネスブックにも載りました。しかし現在では、この年齢は誤りであるとされています。
223歳という年齢は、魚の成長にともなって鱗に刻まれる隆起線が、木の年輪と同じように1年で1本ずつ増えていくという誤解から生じたものと思われます。実際には、隆起線は1年に何本も刻まれ、特に年齢が若いときほど多くなります。それは稚魚や幼魚期ほど成長が早く、鱗も大きくなるからです。人間も一番身長が伸びるのは生まれてから1歳までの間で、18歳くらいまででほとんど成長は止まりますよね。それと同じで、鯉も寿命までずっと大きくなり続けるわけではないので、当然ながら鱗の成長も一定の年齢で止まります。鱗による年齢判定は、成長期を過ぎた鯉では難しいのです。
錦鯉の実際の寿命は、飼育環境にもよりますが長くて30~40年ほどと言われています。しかし、観賞価値を保てる期間はそれより短くなります。その鯉の資質、環境、飼育者の愛情……美しさのためには、どれも欠かすことができません。