月刊錦鯉97年8月号 連載・魚病ノートNo.18
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体表テロハネルス症


体表テロハネルス症
 体表テロハネルス症は一般に越冬明け後の魚に見られるもので、粘液胞子虫類テロハネルスが体表に寄生することによって起きる。大量に発生した池では大きな被害が出ることもある。
 外観は白点病やエピスチリス症と間違えやすいが、病魚の体表から栄養体を採取して、押しつぶして200~400倍程度の顕微鏡で見ると、卵形をした胞子を確認できる。

《症状》
 本病には二種類あって、一つは主として頭部を中心に1~2㎜の黄褐色に見える皮膚の隆起ができるもの。もう一つは主に鱗上に0・5~2㎜の球状の小さなこぶが散在する形でできるものである。通常は両者とも魚の行動、摂餌などには全く異常なく、水温上昇とともに夏までには自然治癒するが、完治するまでは皮膚に開口した跡が残り、商品価値を低下させる。

《対策》
 水温25~30℃に保つと、胞子が放出されて自然治癒する。
 有効な予防法は検討されておらず、重症な病魚は発見次第、取り除き、発生池は消毒することが望ましい。 ・