浮腫症は、越冬池などの加温設備のある池に鯉を入れて、塩水浴と同時に水温を上げることで、治療できることがわかってきた。通常の水温では5日間以上の塩水浴が必要だが、30℃以上にすると3~4四日程度で治療できる。また、細菌による二次感染も考えられることから、水産用テラマイシンや水産用パラザンなどの抗菌剤を併用する治療もなされている。
- 食塩……水1トン当たり、食塩5~6㎏で3~5日間の薬浴。
- 食塩と抗菌剤……①の濃度の食塩と、テラマイシン(水1トン当たり50g)、またはエルバージュ(水1トン当たり10g)、またはパラザンD(水1トン当たり100ml)の混合薬浴を3~5日間。エルバージュは直射日光に当たると分解が早いので、薬浴時は池に覆いをする。また、病気が発生した池をそのまま放置しておくと、鳥などがウイルスを運び、他の池にも伝搬して病気が拡大する可能性もある。発病した池の水は捨ててしまうか、サラシ粉などを撒いて完全に消毒し、他の池への感染を防ぎ、被害を大きくしない心掛けが、生産地域全体の防疫のためにも必要な対策といえる。予防新潟県内水面水産試験状の山田和夫氏は、浮腫症の原因ウイルスが池に密んでいるのではなく、親鯉がウイルスを持っていて、親と接触することによって稚魚が感染して発病している可能性が高いとの見解を示している(月刊錦鯉№90「浮腫症・眠り病・新しい鰓病の対策」)。
したがって、親鯉を飼育している池の水を、稚魚池に引き込まないといった心配りで、浮腫症の発病をかなり抑えられるのではないかとしている。