月刊錦鯉97年3月号 連載・魚病ノートNo.11
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乳頭腫症


 乳頭腫症は低温時期に限って発生し、当才魚を除く全年令魚に見られる病気で、原因はウイルスである。体表に蝋をポタリと落とした感じのものがつくのが特徴である。

 遊泳や、餌食いなどは、健康魚とほとんど変わりない。これによって死亡することはないが、成長は遅れて、痩せてくる。したがって輸送や取り扱いにも弱く、とりわけ観賞面において劣り、しかも伝染性がある。


症状

 頭部、体側、尾部、鰭の表皮に白い蝋状の5㎜程度の点々や、赤味がかった淡桃色の台地状に少し盛り上がったやや硬い突起物ができる。鰭では鰭条に沿った形で、やや広い腫瘍が形成されることが多い。
 この症状は、以前は表皮増生症とも言われていた。つまり、表皮が盛り上がって厚くなるため、白いイボのように見えるので、外観所見からほぼ診断できる。 


治療

①25℃以上の高温で飼育すると、7~10日間程度で自然に治癒する。再発する場合もあるが、高水温時期が長いほど、再発の可能性は低くなる。

②隆起物をメスなどで切除して、坑菌剤で薬浴する。メスなどによる切除では、すぐに再発することが多く、二次感染を誘発しやすくなるので注意を要する。
 高水温を維持することで予防できる。